【1】売上高だけでは損益は把握できません
1-1.初月で50万円達成!といわれても
売上高(ある期間に販売した商品代金の合計)だけ見ても、もうけや利益といった損益は把握できません。また「どシロウトの私でも、初月で50万達成できました!」などと言われても、その50万円が
- 売上高なのか
- 粗利益なのか
- 利益なのか
によって評価はまったく変わるのですが、この違いがわかりますか。
1-2.損益計算の基本とは
損益計算はふつう、
- 売上金額-売上原価=粗利益(売上総利益・もうけ)
- 粗利益-経費=利益
といった計算によって求めます。ここでまずポイントとなるのは売上高から「仕入金額」を差し引くのではなく「売上原価」である点です。
【2】売上原価とは何か
2-1.その期間に売れた商品のみにかかった費用の合計です
売上原価とは経費の一つですが、当該期間における仕入金額の合計ではありません。基本的には「その期間に売れた商品のみにかかった費用の合計」と考えてください。売れ残った商品は在庫品(期末商品)という資産(棚卸資産)として計上され、翌期に繰り越され翌期の期首商品となります。
2-2.売上原価の求め方
例題を使って解説してみます、
売上原価は
- 期首商品棚卸高+仕入金額-期末商品棚卸高
で求めることができるのですが、まず簡単な例題をもとに解説してみます。もうけや利益の基本的な算出方法として捉えてください。
これは簡単ですね、この期間の取引をまとめてみるとこうなります。
- 売上高:7,000円×18=126,000円
- 期首在庫棚卸高:0円
- 仕入金額:5,000円×20=100,000円
- 期末商品棚卸高:5,000円×2=10,000円
となります。
売上原価ともうけを求めてみると
では売上原価ともうけを計算してみましょう、まずは売上原価から。
- 期首在庫棚卸高:0円+仕入金額:100,000円
ここから期末商品棚卸高:10,000円を差し引き
=90,000円となりますね。
そして粗利益(もうけ)は・・・
- 売上高126,000円-売上原価:90000円
=36,000円となります
粗利益率は28%ですね。
ここで注意してもらいたいのが、
- 売上高126,000円-仕入金額100,000円
=26,000円ではないことです。
【3】利益を計算してみましょう
3-1.この期間にかかった経費を差し引きます
さらにこの粗利益から、この期間にかかった経費を差し引けば「利益」まで求められます。この期間中にアマゾン手数料や交通費、発送費やセミナー受講料など「経費」を合計したら32,000円であった場合、利益を計算してみると、
- 36,000円-32,000円=4,000円
- 手数料(アマゾン月間登録料・FBA販売手数料など)
- 発送・梱包材費用(宅配便・ガムテープやダンボール箱など)
- 交通費(電車バス・ガソリン代など)
- セミナー・懇親会参加費用
- 期首商品棚卸高+仕入金額-期末商品棚卸高
- 売上高:130,000円
- 期首商品棚卸高:10,000円
- 仕入高:90,000円
- 期末商品棚卸高:12,500円
- 10,000円+90,000円-12,500円
- 130,000円-87,500円=42,500円
- 粗利益(売上高-売上原価)
- 利益(粗利益-経費)
- 181031-001-○○○-3500
- 日別・月別の売上グラフ表示
- 商品リサーチ機能
- 電脳仕入れ検索機能
- 配送・商品ラベルのカンタン印刷機能
- 価格自動改定機能
- CSV在庫編集機能
- LINE通知機能
- 30日間無料
- 30日目以降:4980円(税込)/月額
- 粗利益(もうけ・売上総利益)=売上高-売上原価
- 利益(所得)=粗利益-経費
- 期首商品棚卸高+仕入金額-期末商品棚卸高
- 5月1日から8月31日までの売上高
- 5月1日現在の商品棚卸高
- 5月1日から8月31日までの仕入金額
- 8月31日現在の商品棚卸高
- 5月1日から8月31日までの経費
4,000円!ですね。
利益率は3%です。
3-2.経費となるのもとは
ここで経費について簡単に解説をしておきます。経費とは収入を得るために要した費用のことです、せどりで稼いでいるのなら、
などでしょうか。
【3】売上原価の求め方・その2
3-2.引き続きAさんの登場です
繰り返しますが売上原価は
この計算式で求められます、つぎの例題はどうでしょう
いかがでしょうか、では11月度の販売実績をまとめてみましょう。10月度より繰り越した在庫、期首商品棚卸高は10,000円ですね、するとこうなります。
売上原価は
=87,500円となりますね。
したがって11月度の粗利益(もうけ)は、
粗利益率は32%ですね。
そしてこの42,500円から、11月度にかかった経費を引けば利益が求められます。
【4】四半期に一度は損益を把握してみましょう!
4-1.シビアに把握したいところです
繰り返しますが、ある期間における
を捉えようと思ったら、棚卸を実施して売上原価を求めないと計算できません。
もちろんその機会は確定申告のため年に一回とするのもいいでしょう。しかし一般企業ではふつう月次で決算を行い、月単位で実績の推移を見ています。
副業で物販を行っていてもビジネスに変りありません。せめて四半期や半期に一度は棚卸を実施して、もうけや利益を、概算でも構わないので「数字」で把握してみましょう。
【5】在庫管理の必要性について
5-1.出品数が増えていけば収拾がつきません
損益計算は期間で行うものです。例えば4月度を迎えるにあたり、1月1日から3月31日までの損益を計算したければ、3月31日現在の棚卸高(在庫金額)だけではなく、期首となる1月1日現在の棚卸高(いくらの在庫を持ってでスタートしたのか)がわからないと計算できません。
商品数が10個や20個であればまだいいのですが、出品数が増えていけば、それに応じ効率的な管理をしておかないと収拾がつきません。
5-2.不良在庫にも目を光らせなければなりません
また損益だけではなく不良在庫にも目を光らせなければなりませんね、陳腐化すれば管理コストもバカにならないのです。
【6】在庫管理のヒント、出品者SKUを活用しよう
6-1.アマゾンFBA!すべてを「丸投げ」るサービスです
ここからはせどりなどで仕入た商品を、アマゾンで出品されている方を対象に商品管理のヒントを解説します。アマゾンには、商品の保管から注文処理、配送、返品対応までを代行する「FBA」というサービスがあります。
すべてを「丸投げ」できるので、出品者はリサーチや仕入れに専念できるというたいへん価値のあるサービスです。これを利用することはもはや常識ですね。
6-2.充実したレポート機能、商品管理も丸投げできるのです!
またアマゾンは在庫や売上レポートも充実しており、管理資料として有効活用することも可能です。丸投げできるサービスの中には「商品管理」も含まれているのです。これを活用しない手はありません。
例えばある時点における在庫数量を捉えたければ、フルフィルメントレポートページ・レポート一覧の「在庫スナップショット」などを使えば閲覧・ダウンロードも可能です。
ダウンロードしたデーターをエクセルで開いてみましょう(※注意:エクセルでファイルを開く際は、「すべてのファイル」としてください!)
テキストファイルウィザード画面になりますが、そのまま【次へ】を何回かクリックし【完了】をクリックできればファイルが開きます、「月末時の数量」が指定した月の末日における棚卸資産の数量です。
あとは見やすくセルの幅を広げるなり項目を追加・削除するなり、自分で好きなように自由に手を加えば資料の完成です。ただ唯一、出品された商品の仕入金額だけは自分で管理しなければなりません。そこで「出品者SKU」の工夫がポイントとなるのです。
6-3.出品者SKUを活用する
この方法は多くの方が指摘されています。商品登録の際「出品者SKU」を欄に仕入値を入力する、といった手を使うことによってより合理的な在庫管理も可能となります。
この欄に「仕入値だけ」を入れたいのですが、困ったことに同じSKUを重複して使う事は出来ません(だから仕入金額がダブると入力できないのです)、ただここには半角英数字で最大40文字まで入力できるので、アルファアベットと組み合わせることにより、仕入日やカテゴリーなど必要情報を入力しておきましょう。
仕入日付+連番+商品カテゴリー+仕入単値
こんな組み合わせなら
こんな感じですか。
6-4.あなたなりに工夫してみましょう
さらに仕入先や新品・中古の区分などを入れる方もいます、まあいろいろと工夫してみてください。ただ仕入れた店舗名をズバリ入れるとか、人が見てヘンなことは入れないほうがいいと思います。もちろん出品者SKU情報は、入力しなくても登録は可能です。(自動採番されます)
6-5.実施するなら来月1日から
出品者SKU登録ルールをあなたなりに決めたらさっそく実施、ただこういった新しいルールを設けたら翌月1日から始めると月次で進捗状況も捉えやすくなります。そしてさらに1か月後でも3か月後でも、あなたが決めた時期が来たら一度月末に棚卸をしてみましょう。
【7】棚卸表の作成について
7-1.その月〆における在庫と棚卸金額を把握する
ダウンロードしたデーターをエクセルで展開します。出品者SKU情報の下何桁が仕入れ値ですね、一番わかりやすい方法はとなりに列を追加し、仕入単価を手入力して、そしてタテ計とヨコ計の計算式を入れれば(余計な列は削除してしまいます)その月〆における在庫明細と棚卸金額を把握できます。こんなかんじでしょうか・・・。
完成したらこの棚卸表は○年○月末日現在、として保存しておきます。そして次回損益計算をするときの「期首商品棚卸高」になるのです。
7-2.古いSKU情報はかなり絞られているはずです
このときSKU情報は「BT-QR6F-VLCD」のようなアマゾンが自動採番したものと、新しい出品ルールによって入力された2種類が表示されるはずです。ここでソートを使えばわかりやすく整理できます。仮に3か月後であれば、古いSKU情報はゼロもしくはかなり絞られているはずです。そうなれば、古いSKU情報の商品についての仕入単価は概算で計算しても大きな影響はありません。
7-3.不良在庫・滞留在庫には要注意
SKU情報をうまく活用すれば、不良在庫や滞留在庫の管理にも活用できます。コードの頭に仕入年月日を持ってくれば、在庫品の出品登録日を古い順・新しい順にも並べ替えが可能です。あとは定期的にチェックをして「半年経過したものは損切する」などルールを決めてもいいですね!
【8】有料ツールに投資してみる
8-1.マカド! Amazonせどり管理ツール
有料ですがツールを使うことにより、より正確な利益計算と在庫管理が瞬時に可能となります。
マカド! Amazonせどり管理ツール
このツールには仕入金額入力欄が用意されています。商品登録の際仕入金額を入力さえしておけば、Amazon手数料も含め損益を自動計算してくれます。
また、どの時期にどれくらい売れたのか、出品開始から何日経過してるのか等、日々の在庫変動も一目瞭然!常に在庫の変動を見守っているので、確定申告の際の面倒な在庫の棚卸しもとてもかんたんスピーディーに行えます。
しかも・・・
その他便利な機能が搭載!
このようにAmazon販売の手法を元に、せどりを行うユーザーにとって「かゆいところに手が届く」機能が満載。シンプルな操作性からアマゾンせどりを行うならこれ!まさに定番ともいえるツールです。
案内動画はこちらをどうぞ!
気になる料金は
※ 無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。
このツール、使いこなすことが出来ればあなたのビジネスを確実に加速させてくれるものです。詳しい案内はここちらを参考にしてください!
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マカド! Amazonせどり管理ツール
【9】まとめ
9-1.物販ビジネスにとって在庫管理は要です
最後にもう一度、物販における損益の基本的な計算方法を・・・
そして売上原価の求め方は
でしたね。
たとえば5月1日から8月31日までの損益を求めたければ
以上の金額を把握しなければなりません、確定申告はこの日付が1月1日から12月31日までに変わるだけです。
売上高は毎日真っ先に確認することですね、アマゾンのレポートを使えば簡単に把握できます。また仕入金額や経費は領収書さえ保管していれば合計するだけです。ここで問題なのが在庫金額の把握、また不良在庫の管理です。ついついリサーチや仕入に目が行きそうですが、物販ビジネスにとって在庫管理は要です。商売の良し悪しも、在庫を見ればわかると言われるくらい奥が深いものなのです。
9-2.数字に換算する習慣を身に付けましょう!
ただこんな面倒なことに時間をかけるのは無駄!税理士にまかせてもっとリサーチや仕入に時間は使うべき!こんな意見もあるでしょう、人それぞれやり方・方法はあるのです。
ただビジネスの結果は数字に表れます、商品やお金が回転しているからよしとするのもいいでしょう、ただそこに「数字による根拠」があればなおよしです。概算でいいのです、経過や結果にせよ「数字に換算して捉える習慣」はぜひ身に付けてください!
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費用や売上、その計上のタイミングについては「発生主義」と「現金主義」といった二つの会計方法があります。確定申告においては発生主義での記帳が基本となるのですが、この違いを事例を使って簡単に説明してみます。また特に物販を行う個人事業者向けに、アマゾンセラーセントラル の売上データを取り込める便利な会計ソフトもご案内します。
“せどりの「もうけ」を計算する!売上原価の求め方と棚卸について” への1件のフィードバック